Q1. 現在の事業と、会社の成り立ちを教えてください。
平成18年の1月に会社を立ち上げました。夫のクリニックが同じ年の8月22日に開業していますので、ちょうど今年で20年になります。
会社を作った当時、私はまだ主婦で、経営にはまったく携わっていませんでした。ただ、夫が独立するにあたって、看板も、地盤も、カバンもないところから一緒に立ち上げることになって。やっているうちに、どうしても自分自身が出ていかなければならない状況になっていきました。
医療機関はどこもそうなのですが、看護師は派遣ができない職種なんです。直接雇用でなければいけない。一方で、それ以外のコメディカルは、派遣や業務委託ができます。
ですから、私の会社を通じて眼科に派遣業務委託するという形が可能になります。眼科には医療事務と視能訓練士が必ず必要ですから、自然とうちのスタッフの数が多くなる。しかもコアなメンバーになっていきます。
この人たちをまとめる上で、どうしても私が前に出ざるを得なくなった、というのが正直なところです。
Q2. 幅広い活動に共通する軸は何でしょうか。
あくまでも、その時に自分が興味を持ち、関心があって、好奇心が湧いて「やってみよう」と思ったこと。それにタイミングとご縁がつながって、いまの方向に来ているという感じでしょうか。
私、わらしべ長者がすごく好きなんです。いまあるリソースを、タイミングとご縁で誰かと交換する。しばらく進むとまた交換して、少しずつステップアップしていく。
未来には、目標というものがなくても、その時その時の不確実な方向で、ご縁とタイミングをうまくつかむと、自分が想像しなかったところに行けるんですよ。
「こうしたい、ああしたい」という理屈よりも、「こうなればいいな」という漠然としたものはあるけれど、そこに向けてあえて細かいマイルストーンは置かない。遠い未来はあるけれど、そこにどう登るかは、その時のご縁とタイミングで進む。そういうのが好きなんです。
社会学的にも、身内よりも緩やかなつながりから得たアイデアやチャンスのほうが有効だと言われています。まさしくそれを体現しているのだと思っています。
実現したい社会となると、自分の力が及ばないところもありますが、自分が関係している人がウィンウィンであること。そして他者と比べることなく「私はこういう生き方をしている」と、お互いに認め合えること。そういう社会がいいと思っています。
Q3. 医療現場の人手不足の、根っこにあるものは何でしょうか。
先日セミナーで聞いたのですが、日本国内で就労している人数は、一昨年よりも去年のほうが多いんです。女性と高齢者が働く社会になってきている。
人手不足は、医療や介護、美容室、建設・建築といった業種では慢性的にあるかもしれません。ただ製造業では、経済産業省などが補助金を出していて、こういう小さな地方都市でもロボット化が進んできています。リアルで働く職種が、意外に狭まってくるのではないかというのが私の実感です。
少し前まで、医療事務は本当に足りなくて困ったなと思っていました。でも、チャットボットでお問い合わせがある程度解決できるようになったり、自動精算機ができたり、オンラインで予約が取れるようになったり。そのあたりが地道に進んできているんです。
国も、2030年にすべての医療機関を電子カルテにすることを掲げています。喫緊の課題としてやりなさい、と出てきていますから。
検査をしたり、注射をしたり、リアルに患者さんと触れて向き合う部分は、ある一定数どうしても人が必要です。でも、その周りをサポートする部分はDXが進んでいく。それによって、人手不足はある程度解消されるような気がしています。
Q4. これからの会社について、どう考えていますか。
実は直近で、会社の定款を変更したんです。事業内容も追記しました。
今後を見据えると、事業承継は何とかやりきりたいと考えています。自分の会社だけでなく、同じように事業承継を考えている方々のサポートもできるのではないかと思っています。
もちろん、今後のことは自分自身の体力や気力、社会情勢によっても変わっていくと思います。ですから、DX化なども取り入れながら、これまでのやり方に固執せず、その時々の状況に見合った形へと柔軟に変えていきたいですね。
会社自体はしっかりと次の世代に残していく。自分の経験を生かしながら、無理なく、その時の自分に合った形で社会との関わりを持ち続けていけたらと思っています。
会社って、人生と一緒なんですよね。ぐっと伸びる時もあれば、下がる時もある。人の一生と企業の一生は似ているとよく言われますが、本当にそう思います。ピークを迎えた後、少しずつ変化していく中で、いかにきちんとソフトランディングしていくか。いまは、その方法を自分の中で探しているのだと思います。
代々受け継がれ、何代も続く会社もありますが、それだけが企業の在り方ではありません。一代で役割を終える会社も当然ありますし、実際にはそうした会社の方が多いと思います。
ただ、経営者として忘れてはいけないのは、会社には従業員がいて、その人たちの生活や人生を預かっているという責任があることです。自分自身のこれからの人生も大切ですが、だからといって、自分の都合だけで会社の将来を決めるわけにはいきません。
従業員にとっても、会社にとっても、そして自分自身にとっても、できるだけWin-Winとなる形を考えていきたい。そのためには、雇用を守る責任と、経営者としての自分の体力や今後の事業環境、その両方のバランスを見ながら進んでいくことが大切だと思っています。
会社のライフサイクルに合わせて、自分がいまどのフェーズにいるのかを冷静に見極めること。そして、次の世代につなぐのであれば、関わる人たちが安心して前へ進めるような形を整えていくこと。
それもまた、経営者として最後まで果たしていくべき大切な役割なのではないかと思っています。
Q5. これから取り組んでいきたいことは何ですか。
四柱推命です。もともと鑑定士の資格を持っていて、免許状もいただいていたのですが、なかなか仕事の合間に勉強ができずにいました。最近になって、もう一度学び直しています。
占いというと、単発でパンと結果を出されると怪しく感じられるかもしれません。でも私が考えているのは、そこではないんです。
心理学に「ジョハリの窓」というものがあります。自分が知っている自分、他人が知っている自分、自分は知っているが他人は知らない自分、そして自分も他人も知らない自分。この4つのマトリックスがあります。
本当に宝が眠っているのは、自分も他人も知らない自分のところなんです。そこを見つけられれば、すごく幸せです。新たな可能性ですから。
では、自分も他人も知らない自分を、どうやって見つけるのか。そのとっかかりとして、占いは使えるよね、というのが私のベースにあります。
人生100年時代です。65歳の定年以降、35年間あります。食べるためということとは関係なく、自分の取り組みや活動、パラレルキャリアを探す上で、すごく必要なものではないかと思っているんです。
四柱推命では、運のいい時と悪い時があります。運のいい時は出ていかなければいけない、勝負をかけなければいけない。運の悪い時、停滞の時期は耐えなければいけない。
ただ、人間ずっと耐えろというのはきついんですよ。あと何年経てば変わるのか、その目安が分からない、本当にトンネルの中にいる状態が一番つらいと思うんです。あと100メートル歩けば光が見えてくるよ、と分かるだけで全然違う。そこを伝えたいというのがあります。
あわせて最近、アーティスティックな書道を習い始めました。きれいな字を書くのではなく、大きい小さいがあったり、少し崩れたような、味のある字です。己書といいます。
鑑定をしたときに、その方にとってのキーワードになる言葉を、はがき大に書いてお渡しするんです。「これから何年かつらい時があるから、その時にこれを見なさい」と言って渡す。
私はコーチングのコーチもやっていますので、鑑定と、言葉のプレゼントと、コーチングと、女性支援。それをトータルでできるなと思っています。
Q6. AIが進む中で、人間の強みはどこにあると思いますか。
基本的な事務仕事は、IT技術を使えばみんなできるようになってしまいます。
だからこそ、目に見えないもの、感覚的なところで人間が強みを出していかないといけない。人間本来の強みとは何なのか。そこにもっともっとフォーカスしていかなければいけないのかな、と思っています。
Q7. 10年後、どんな人として記憶されたいですか。
私たちの年代は、一つのことをコツコツやっていくのが美徳だと言われて育ちました。あれもこれもやると全部中途半端になる、何でも屋は何にもできない、と。
でも、結構楽しそうだし、そこそこちゃんとやっている。「ああいうパラレルキャリアもありだね」と言われる存在になりたいです。
つながりたいのは、企業経営者の方々です。それから40代、50代の女性。パートをして子育てをして、という方が女性には圧倒的に多い。
一方で、サロンを経営されている個人事業主の女性や、女性経営者の方は、すごくパワフルでエネルギッシュなんです。独特のエネルギーを持っていて、私自身が得られるものもとても大きい。そういう方々とつながっていきたいと思っています。
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著書について
『こころが元気になる素敵な一言 50 Stories 自分を好きでいられるとONもOFFも思いのまま』(笹川正子・Kindle版)