INTERVIEW

狙いたいユーザーへピンポイントでロックオン。

五十嵐 洋介 株式会社ainak 代表取締役
五十嵐洋介さん

法学部を出たあと、建築を学び直してハウスメーカーへ。住宅情報サイトの制作に携わり、震災をきっかけに独立した、株式会社ainakの五十嵐洋介さんが手がけるのは、SNS運用代行と、位置情報やURLの閲覧履歴から「いま買おうとしている人」を狙い撃つ広告だ。地方を盛り上げたいという思いから始まった会社は、いまアートを海外の富裕層に届ける事業まで広げようとしている。

Q1. 現在の事業について教えてください。

いくつか事業をやっていますが、一番長いのはマーケティングです。この会社で15年ほど、マーケティングをやってきました。

いまは大きく二軸です。一つはSNSの運用代行。もう一つが、自社でやっているロックオンマーケティングです。

ロックオンマーケティングというのは、GoogleやMeta広告では難しい、ピンポイントでユーザーにアプローチできる独自性の高い広告です。富裕層向けのマーケティングとも相性がいいので、そちらにもご提供しています。

Q2. ロックオンマーケティングとは、具体的にどういうものですか。

大きく二つあります。

一つは、位置情報でターゲティングして広告を打つものです。タワーマンションにお住まいの方、高級住宅街にお住まいの方、ゴルフ場によくいらっしゃる方。そういう方を位置情報で捉えて、広告を配信します。

もう一つは、URLで追跡する広告です。特定のページを見た方に、自社の広告を打つことができます。たとえば富裕層向けであれば、特定の不動産ページを見た方、プライベートジェットのページを見た方、別荘の登録ページを見た方に、不動産の広告を出す、といったことができます。

他があまりやっていないサービスなので、差別化できているところだと思います。

コンバージョン率そのものは、LPの出来にも左右されるので、GoogleやMetaと大きくは変わりません。ただ、バナーのクリック率は非常に高くなります。LPまで遷移させるところは、かなり最大化できていると思います。

どんなにいいLPでも、どんなにいいサービスでも、まず見られないと意味がありませんから。LPの役割はコンバージョンの最適化で、契約を取るのは営業や会社側の役割。その手前、集客までをしっかり成果として出すのが私たちの仕事だと思っています。

単価の関係で、飲食店のように客単価が低い業種には向きません。不動産系、医療系、学習塾、車屋さん、パーソナルジムなど、単価の高い商材を扱っている業種の方に向いています。

Q3. なぜ、行動データを重視するようになったのですか。

GoogleやMetaだけでは効果が出なかった、というのが一番大きいですね。広告費をたくさんかけないと、なかなか取れなかった。広告費を抑えながら、確度の高いユーザーを狙うにはどうしたらいいか。そこが発想のきっかけです。

たとえばMetaでは、20代女性、趣味はこれ、といったターゲティングができます。ただ、趣味でターゲティングしても曖昧で、ぼやけてしまう。結果的に、広い人に予算をかけないと効果が出ないということが、クライアントで結構ありました。

もう一つ、SNS運用をずっとやってきて感じていたこともあります。SNSは、広く抽象的に、マスに向けて発信するツールだと思うんです。それだけだと、地方の企業や、地域一択でやっている会社さんでは、SNSをやったからといって成果につながらないことがありました。

そこで、狭く具体的なアプローチとして、確度を絞れる広告を併用する。特定のエリアにいた方をフォロワーとして囲い込むこともできます。SNSの広いアプローチを補う考え方としても、開発したところがあります。

Q4. 独立するまでの経緯を教えてください。

もともとは文系で、大学は法学部を卒業しました。その後にもう一度、理系の建築に行き直しています。最初のスタートは大手のハウスメーカーで、マンションの設計や不動産の開発をしていました。

その後、住宅情報サイトの創刊から制作に携わりました。若い頃は、不動産や住宅の領域で活動していたということですね。

2011年に東北の震災がありました。私も山形県の出身なのですが、風評被害で経営が傾いている会社がちょこちょこあったんです。その風評被害をどう払拭するかというときに、SNSを活用してマーケティングとブランディングを図りましょう、とご提案したのが始まりでした。それで2012年に会社を立ち上げています。

当時はTwitterが出てきたぐらいで、Facebook中心の頃でした。その頃からSNS運用代行を始めているので、業界では古株のほうになってきたかなと思います。

社名のainakも、地方創生の意味合いから来ています。「A」を最後に持ってくると、inaka(田舎)になるんですね。田舎からアクションへ、という意味です。

都心だけでなく、地域の企業を本気で盛り上げることが、日本全体の経済発展につながると信じています。

Q5. お客様から「ainakにお願いしたい」と言われる理由は、どこにあると思いますか。

15年やってきた実績と経験を買っていただくことは多いですね。

ターゲットが不動産・住宅系ということもあります。私自身、もともと不動産や設計をやっていて、住宅情報サイトの制作もやってきたので、業界のことがよく分かる。そこを評価いただくケースも多いです。

あとは、自分で言うのもなんですが、先見の目があるほうだと思います。15年前からSNS運用を始めていて、当時はFacebookの運用代行をやっていました。その頃は本当に競合が少なかったので、大手企業とのパイプを作ることができました。そうした大手との取引があることも、評価としていただいています。

Q6. これから、どこを伸ばしていきますか。

マーケティング事業の中では、ロックオンマーケティングです。

SNS運用は、正直なところ差別化が難しくなってきています。自動で運用するツールも出てきているので、運用代行の会社はどんどん減っていくだろうと思っています。GoogleやMetaの運用代行をやっている会社も非常に多いので、そこはその会社にお任せして、うちは特殊な広告を、かつ富裕層向けにやっていく。そこでポジショニングを取りたいと思っています。

紙でやっている会社はありますが、デジタル上で富裕層向けマーケティングを打っている会社はいません。ですから、そこは取っていきたいと思っています。

ただ、マーケティングの支援そのものは、AIが進んでいけば、いずれ価値がなくなっていくのではないかとも思っています。その意味では、別事業へのシフトも行っています。

一つはアート事業です。

私自身、建築出身でものづくりが好きなのですが、建築デザイナーを目指したときに手取り10万円にも届かず、食べていけなくて諦めた経験があります。その後ハウスメーカーに勤めて、量産型のマンション設計をこなす日々もありました。いまデザイン専門学校で講師もしていますが、クリエイターが独立した後に食べていけるようにマーケティングを教えています。

それと同時にアーティスト支援も行っており、アーティストの方を海外の富裕層とつないで、作品が高く売れた分をアーティストに還元していく事業モデルを構築しています。

これまで培ってきたマーケティングやブランディングを、アーティストのプロデュースにシフトしていくイメージです。

日本の国力そのものが下がってきていて、市場も小さくなってきています。海外に目を向けなければいけない。海外の市場を取りつつ、それを日本に還元することで、日本を底上げしていく。そういうことをやっていきたいと思っています。

Q7. 仕事をするうえで、譲れないものは何ですか。

私のXアカウントに「熱、足りてますか」というフレーズを載せているのですが、熱中できることを見つけて突き進む。そこはずっと大事にしてきました。熱を持てるものを見つけて、そこに注力する。それが一つの軸です。

もう一つは、お客様の課題を解決すること。寄り添って解決していくというスタンスは、マーケティング事業の根本なので、普遍的なところだと思います。

価値観としては、柔軟性ですね。時代の流れがだいぶ速くなっているので、いかに対応するか。これはダメだと思ったらすぐ別の事業に切り替える、ピボットする、ということは比較的できるタイプだと思います。

そして、15年やってきて振り返ると、クレームは少なかった方だと思います。理由は約束事を守ることです。納期をしっかり守る。やると言ったことはちゃんとやる。その当たり前のところをしっかりやってきたことが、長続きしている理由でもあると思っています。

PROFILE

掲載者・会社情報

会社名
株式会社ainak
氏名
五十嵐 洋介
役職
代表取締役
所在地
東京都港区
事業内容
位置情報やWebサイトの閲覧履歴を活用したピンポイント広告(ロックオンマーケティング)/SNS運用代行

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